ビタミンAの栄養と働き、所要量、過剰症、欠乏症
ビタミンAの栄養と働き
ビタミンAは、皮膚や粘膜の細胞の正常な分化を促し、粘液の産生にも関係しています。ビタミンAは「目のビタミン」といわれ、目の健康に深く関わっているビタミンです。ビタミンAはムチン層をつくって目の表面の角膜に涙をつなぎ留めたり、涙の量を増やしたりして目の粘膜の湿潤性を高めることで、目を乾燥から守ります。
ビタミンAの栄養所要量
ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなる“とり目”と呼ばれる欠乏症がおこることが知られています。現在の日本ではほとんどみられませんが、栄養状態がよくない発展途上国において、子どもたちが失明する重大な原因になっています。その他の不足の症状では、皮膚および粘膜の乾燥や角質化などが生じるため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなります
ビタミンAの所要量は以下の通りです
推奨量 |
成人男性 |
750μgRE |
成人女性 |
600μgRE |
妊婦 |
+70μgRE |
授乳婦 |
+420μgRE |
(参照) ビタミンAの栄養所要量
※上限量:3,000μgRE(成人男女、妊婦・授乳婦含む)
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:880μgRE 女性:863μgRE
ビタミンAの欠乏症と過剰症
一方、とり過ぎによる過剰症では、肝臓に貯蔵されて肝障害などの副作用をおこすおそれがあります。普通の食事からはとり過ぎる心配はありませんが、サプリメントやビタミン剤を摂取する場合は使用法をきちんと守りましょう。特に、妊娠期または妊娠を希望する女性での過剰摂取は胎児への悪影響が報告されていることから、とり過ぎにならないように気をつけてください。
ビタミンAには、過剰症状と欠乏症があります。
項 目 |
具体的な症状 |
過剰症 |
ビタミンAを大量に(6,000μgRE)摂取した場合、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などの中毒症状(過剰症)をおこすことがあります。ビタミン剤を使用する場合、決められた量を守って服用していれば過剰症の心配はほとんどありませんが、動物のレバーのようにビタミンAを多く含む食品を同時にとる場合には注意が必要です。
(参考:妊婦・発育期の子どもへの影響)
アメリカの研究では、妊婦が1日3,000μg以上のビタミンAを摂取した際に、胎児頭部の奇形の発生率が、1,500μg以下の場合に比べて5倍になったという報告が示されています。
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欠乏症 |
ビタミンAが不足すると粘膜が乾燥しやすくなります。そのため、目が乾く、肌がかさつく、風邪をひきやすくなる、胃腸の粘膜が傷つきやすくなる、髪が傷む、爪がもろくなる、などの症状があらわれます。また、眼の中にある、光や色を感受する物質が足りなくなり、うす暗いところで物が見えにくくなる(夜盲症)ことがあります。
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ビタミンAの栄養が多く含まれている食品
ビタミンAとして働く成分を多く含む食品は、レバー、うなぎ、バター、マーガリン、チーズ、卵、緑黄色野菜などです。また、国民健康・栄養調査結果からみると、私たち日本人は緑黄色野菜からとるビタミンAが最も多く、4割余りを占めています。私たち日本人にとって緑黄色野菜はビタミンAの供給源としてとても重要なのです。
ビタミンAが多く含まれている食品について
含有量(可食部100g中) |
常用量(1食あたりの量) |
食材 |
レチノール当量 |
レチノール |
β-カロテン |
目安 |
レチノール当量 |
レチノール |
β-カロテン |
にんじん(生) |
760 |
0 |
7700 |
20g(煮物1食) |
152 |
0 |
1540 |
モロヘイヤ(生) |
840 |
0 |
10000 |
60g(おひたし1食) |
504 |
0 |
6000 |
西洋かぼちゃ(生) |
330 |
0 |
3900 |
80g(煮物1食) |
264 |
0 |
3120 |
うなぎ(蒲焼) |
1,500 |
1,500 |
0 |
80g(1/2尾) |
1,200 |
1,200 |
0 |
あなご(蒸) |
890 |
890 |
0 |
40g(1尾) |
356 |
356 |
0 |
ぎんだら(生) |
1,100 |
1,100 |
0 |
70g(1切れ) |
770 |
770 |
0 |
鶏レバー(生) |
14,000 |
14,000 |
0 |
40g(1個) |
5,600 |
5,600 |
0 |
ほたるいか(生) |
1,500 |
1,500 |
0 |
30g(煮物1食) |
450 |
450 |
0 |
(参照) ビタミンAの吸収を促進阻害する因子
ビタミンAの栄養成分、必要量、過剰症、欠乏症、多く含む食品の情報
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ビタミンAは、油脂類に溶ける脂溶性ビタミンです。皮膚や粘膜の細胞の正常な分化を促し、粘液の産生にも関係しています。ビタミンAは「目のビタミン」といわれ、目の健康に深く関わっているビタミンです。 |
ビタミンは肝臓から血液を通り組織へ行き、肝臓で脂肪酸と結合して貯蔵される。 必要に応じてタンパク質と結合して体内にお運ばれ、 細胞にとりこまれ、成長促進や粘膜維持に関与。 |
ビタミンAは、脂溶性ビタミンである為に過剰摂取すると体内蓄積をし過剰症を引き起こす事がわかっています。摂取する量は決められています。 |
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ビタミンAを大量に摂取した場合、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などの中毒症状(過剰症)をおこすことがあります。動物のレバーのようにビタミンAを多く含む食品を同時にとる場合には注意が必要です。 |
ビタミンAが不足すると粘膜が乾燥しやすくなります。そのため、目が乾く、肌がかさつく、風邪をひきやすくなる、胃腸の粘膜が傷つきやすくなる、髪が傷む、爪がもろくなる、などの症状があらわれます。 |
ビタミンAの吸収促進には、ビタミンD、βカロチンなどのカロチノイド類や脂質を含む食品と一緒に摂取する事、吸収阻害因子は喫煙などがあります。 |
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ビタミンAの成分レチノールを多く含む食品を紹介します。肉類では豚、牛、鶏の肝臓に多く含まれます。それからうなぎやいか、たまごやバターなどの乳製品にも多く含まれます。 |
β-カロテンには活性酵素の発生を抑え、取り除く働きがあります。ビタミンEは抗酸化作用のほか、細胞内に過酸化脂質が作られるのを抑える働きがあります。 |
ビタミンAは妊娠中も必要なビタミンですが、妊娠3ヶ月までの過剰摂取により赤ちゃんの耳の形態異常が増えることがわかっています。 |
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