妊娠時におけるビタミンA摂取方法と栄養
動物性ビタミンA(レチノール)の過剰摂取について
ビタミンAは妊娠中も必要なビタミンですが、妊娠3ヶ月までの過剰摂取により赤ちゃんの耳の形態異常が増えることがわかっています。妊娠中の必要量は1日2000 IU(600μg)で、上限は1日 5000 IU(1500μg)です。ビタミンAは、通常の食事では、過剰摂取になることも不足することもありませんが、ビタミンAを含むサプリメントにより過剰摂取になる可能性があります。ビタミンAには、動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜に含まれ体内でビタミンAに変わるβ-カロテン(β-カロチンともいいます)があり、過剰摂取で問題になるのはレチノールです。β-カロテンは、ビタミンAの前駆物質であり、ビタミンAが不足すると必要な量だけがビタミンAに転換されるしくみなので、たとえ大量に食べてもビタミンAは過剰にならないので安全です。
ビタミンAの食事摂取基準(μgRE/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
年齢 | 推定平均 必要量1 |
推奨量1 | 目安量1 | 上限量2 | 推定平均 必要量1 |
推奨量1 | 目安量1 | 上限量2 |
0~5(月) | - | - | 250 | 600 | - | - | 250 | 600 |
6~11(月) | - | - | 350 | 600 | - | - | 350 | 600 |
1~2(歳) | 200 | 250 | - | 600 | 150 | 250 | - | 600 |
3~5(歳) | 200 | 300 | - | 750 | 200 | 300 | - | 750 |
6~7(歳) | 300 | 400 | - | 1,000 | 250 | 350 | - | 1,000 |
8~9(歳) | 350 | 450 | - | 1,250 | 300 | 400 | - | 1,250 |
10~11(歳) | 400 | 550 | - | 1,550 | 350 | 500 | - | 1,550 |
12~14(歳) | 500 | 700 | - | 2,220 | 400 | 550 | - | 2,220 |
15~17(歳) | 500 | 700 | - | 2,550 | 400 | 600 | - | 2,550 |
18~29(歳) | 550 | 750 | - | 3,000 | 400 | 600 | - | 3,000 |
30~49(歳) | 550 | 750 | - | 3,000 | 450 | 600 | - | 3,000 |
50~69(歳) | 500 | 700 | - | 3,000 | 450 | 600 | - | 3,000 |
70以上(歳) | 450 | 650 | - | 3,000 | 400 | 550 | - | 3,000 |
妊婦(付加量) | +50 | +70 | - | - | ||||
授乳婦(付加量) | +300 | +420 | - | - |
RE=レチノール当量。 1μg RE = 1μg レチノール = 12μg β-カロテン = 24μg α-カロテン = 24μg β-クリプトキサンチン。 プロビタミン・カロテノイドを含む。 プロビタミン・カロテノイドを含まない。
ビタミンA(レチノール)が多い食品
レチノール当量(ビタミンA)の多い食品 | |
鶏肉(レバー) | 14000 |
豚肉(レバー) | 13000 |
あんこうのきも | 8300 |
うなぎ(きも) | 4400 |
レバーペースト | 4300 |
うなぎ(かば焼) | 1500 |
ほたるいか(生) | 1500 |
ぎんだら | 1100 |
牛肉(レバー) | 1100 |
あなご | 890 |
しそ | 880 |
モロヘイヤ | 840 |
にんじん | 720 |
鶏肉(はつ) | 700 |
すじこ | 670 |
パセリ | 620 |
バジル | 520 |
あゆ(養殖/焼) | 480 |
うずら卵(水煮缶) | 480 |
たまご(卵黄) | 480 |
ほうれん草(ゆで) | 450 |
あしたば(生) | 440 |
しゅんぎく(ゆで) | 440 |
よもぎ | 440 |
生クリーム/乳脂肪 | 390 |
しゅんぎく(生) | 380 |
だいこん(葉) | 370 |
うずら卵(生) | 350 |
ほうれん草(生) | 350 |
糸みつば | 340 |
いくら | 330 |
ホイップクリーム/乳 | 330 |
ビタミンAの栄養と健康 |
ビタミンA消化と吸収 |
ビタミンAの栄養所要量 |
ビタミンAは、油脂類に溶ける脂溶性ビタミンです。皮膚や粘膜の細胞の正常な分化を促し、粘液の産生にも関係しています。ビタミンAは「目のビタミン」といわれ、目の健康に深く関わっているビタミンです。 | ビタミンは肝臓から血液を通り組織へ行き、肝臓で脂肪酸と結合して貯蔵される。 必要に応じてタンパク質と結合して体内にお運ばれ、 細胞にとりこまれ、成長促進や粘膜維持に関与。 | ビタミンAは、脂溶性ビタミンである為に過剰摂取すると体内蓄積をし過剰症を引き起こす事がわかっています。摂取する量は決められています。 |
ビタミンAの過剰症 |
ビタミンA不足・欠乏症 |
ビタミンAの吸収促進・阻害 |
ビタミンAを大量に摂取した場合、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などの中毒症状(過剰症)をおこすことがあります。動物のレバーのようにビタミンAを多く含む食品を同時にとる場合には注意が必要です。 | ビタミンAが不足すると粘膜が乾燥しやすくなります。そのため、目が乾く、肌がかさつく、風邪をひきやすくなる、胃腸の粘膜が傷つきやすくなる、髪が傷む、爪がもろくなる、などの症状があらわれます。 | ビタミンAの吸収促進には、ビタミンD、βカロチンなどのカロチノイド類や脂質を含む食品と一緒に摂取する事、吸収阻害因子は喫煙などがあります。 |
ビタミンAを多く含む食品 |
ビタミンAと抗酸化作用 |
妊娠初期とビタミンA |
ビタミンAの成分レチノールを多く含む食品を紹介します。肉類では豚、牛、鶏の肝臓に多く含まれます。それからうなぎやいか、たまごやバターなどの乳製品にも多く含まれます。 | β-カロテンには活性酵素の発生を抑え、取り除く働きがあります。ビタミンEは抗酸化作用のほか、細胞内に過酸化脂質が作られるのを抑える働きがあります。 | ビタミンAは妊娠中も必要なビタミンですが、妊娠3ヶ月までの過剰摂取により赤ちゃんの耳の形態異常が増えることがわかっています。 |