ナイアシンの栄養と働き
ナイアシン |
ナイアシン(ニコチン酸、ニコチンアミド) |
ヌクレオチド (NAD) やニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP) に変換され、酸化還元反応 (電子が供与体分子から受容体分子に転移する反応) に関与する酵素の補酵素として機能しています。また、NADが基質として利用されるADP-リボシル化反応にも関与しています。ナイアシンは食品からの摂取以外に、生体内で必須アミノ酸のトリプトファンから生合成することができ、食物から摂取したトリプトファンの1/60がナイアシンに転換されるといわれています。不足すると、皮膚炎・下痢・精神神経障害を主症状とするペラグラを引き起こす恐れがあります。
ナイアシンの栄養と消化・吸収
ナイアシンは、動物性食品中ではニコチンアミド、植物性食品中ではニコチン酸として存在し、ニコチンアミド、ニコチン酸のいずれも小腸で速やかに吸収されます。生理的濃度では小腸でのナイアシン吸収はpH依存的な促進拡散ですが、高濃度では受動拡散が主となります 。ニコチンアミドは肝臓以外の組織に運ばれ、余ったものが肝臓に取り込まれます。他方、ニコチン酸は肝臓に取り込まれた後、ニコチンアミドに変換され、各組織に放出されます。肝臓ではトリプトファンからニコチンアミドを合成することができます。ヒトではニコチン酸やニコチンアミドではなく、MNA (N1-メチルニコチンアミド) や2-Py (N1-メチル-2-ピリドン-5-カルボキサミド) 、4-Py (N1-メチル-4-ピリドン-3-カルボキサミド) に代謝されて尿中に排泄されます。
ナイアシンの栄養の働きと効果
ナイアシンの活性型NAD(P)を必要とする酵素は酸化還元反応などを中心に400種類以上存在し人における酵素の20%程度を占める。特に注目すべき点は糖質、たんぱく質、脂質に内在するエネルギーを電子として取り出す際の受容体となっていること、そして、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオンを介する抗酸化系の最終還元物質がNADPHであること。すなわち、ナイアシンは生命にとってもっとも重要な抗酸化物質である。そのため、欠乏に対して様々な対策が体内においてとられている。そのひとつが、トリプトファンを出発物質とした生合成経路を持っている。
ナイアシンの栄養と化学的特性
ナイアシンは水溶性のビタミンで、中性、酸性、アルカリ性、酸素、光、熱に対して安定です。そのため、保存や調理によって効力が低下することはほとんどありません。しかし、ニコチン酸やニコチンアミドは水、特に熱水には極めて溶けやすいため、煮物料理をすると煮汁中に70%も移行します。また、肉類をから揚げにすると、20~40%程度のニコチンアミドが油中に移行します。
ナイアシンの栄養所要量
国民健康・栄養調査で男性は平均16.1 mgNE、女性は平均13.2 mgNE摂取しており、男女ともほぼ推奨量を充たしているといえます。
ナイアシンの所要量は以下の通りです
ナイアシンの推奨量 | |
成人男性 | 15mgNE |
成人女性 | 12mgNE |
妊婦 | 初期(16週未満)+0mgNE 中期(16週~28週未満)+1mgNE 末期(28週以後)+3mgNE |
授乳婦 | +2mgNE |
栄養機能性食品として | (下限値) 0.8μg |
(上限値) 60.0μg |
※上限量:ニコチン酸アミドで300mg、ニコチン酸で100mg(成人男女、妊婦、授乳婦を含む)
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
※ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:17.5mgNE 女性:14.2mgNE
我が国におけるナイアシン栄養摂取状況
平成21年の国民健康・栄養調査で男性は平均16.1 mgNE、女性は平均13.2 mgNE摂取しており、男女ともほぼ推奨量を充たしているといえます。
ナイアシンの欠乏症と過剰症
ナイアシンは不足すると、食欲がなくなり、消化不良、皮ふの発疹がおこります。さらに不足すると、うろこ状に荒れる皮膚炎や、痴(ち)ほう、下痢などをおこすペラグラという欠乏症になります。ペラグラは、かつて中南米などにおいてトリプトファン含有量の少ないとうもろこしを主食とし、他の食品をあまり食べない地域で見られましたが、日本で通常の食生活をする場合はここまで不足する心配はほとんどありません。 一方、通常の食事から過剰になることはほとんどありませんが、薬やサプリメントでは誤って大量摂取すると、消化不良やひどい下痢などの消化器系の障害や、肝臓の障害などの過剰症がおこることがありますので、適切なご利用方法をこころがけてください。
ナイアシンには、過剰症状と欠乏症があります。
項 目 | 具体的な症状 |
ナイアシン 過剰症 |
特にありません |
ナイアシン 欠乏症 |
皮膚や消化管、神経に障害がおこりやすくなります。細胞のエネルギーが不足して、だるい・疲れやすい・食欲不振などを感じることがあります。ナイアシンの不足による欠乏症としてペラグラ(皮膚炎、舌の黒化や腫れなど)が知られています。 |
ナイアシンが多く含まれている食品
ビタミンKは納豆に非常に多く、1パック(40g)には348μgも含まれています。その他には、こまつ菜やほうれん草などの緑黄色野菜にも多く含まれています。 なお、血液の抗凝固剤(固まらないようにする薬)を飲んでいる人では、納豆を避けるように指導されますが、これは納豆に豊富なビタミンKが薬の効きを悪くしてしまうからです。
含有量(可食部100g中) | 常用量(目安量) | ||
---|---|---|---|
落花生(いり) | 17.0 | 30g(1皿) | 5.1 |
エリンギ(生) | 8.1 | 50g(1/2パック) | 4.1 |
かつお(春獲り、生) | 19.0 | 80g(さしみ1食) | 15.2 |
さば(味付、缶詰) | 7.4 | 180g(缶詰) | 13.3 |
若鶏むね 皮つき(生) | 10.6 | 100g(1/2枚) | 10.6 |
牛サーロイン 赤肉(生) | 5.3 | 150g(ステーキ1枚) | 8.0 |
ナイアシンを含む食品調理・加工をする際の注意点
ナイアシンは、体内で重要な役割を持つさまざまな酸化還元酵素の補酵素として、糖質、脂質、たんぱく質などの代謝に不可欠なビタミンです。食品中のナイアシンは、熱・酸・アルカリに対して安定した性質を持っているので、調理や加工中の損失はほとんどありません。普通の食生活で過不足なく摂れるビタミンですが、飲酒によって体内のナイアシンが失われてしまうため、お酒をよく飲む方は積極的に摂取するようにしましょう。また、ナイアシンはビタミンB群の仲間です。中でも、ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6とは互いに助け合う密接な関係にあるので、それぞれをバランスよく摂る必要があります。
ナイアシンの歴史
硝酸を使用してニコチンの酸化。ナイアシンは後で、有効成分を識別し、「ペラグラを防止する要因」と「反blacktongue 要因」と呼びます、コンラッド Elvehjem 肝臓から抽出されたニコチン酸の生物学的意義が実現したときに、適切なビタミンかナイアシンの豊富な食品、ニコチンやタバコにビタミンが含まれていることを認識しないように、ニコチンから分離するための名前を選択すると考えられていた。名前 'ナイアシン' が派生したnicotinic acid + 終身開くからインチ大工 1951 年にトウモロコシではナイアシン生理がないだけ非常にアルカリ石灰水 pH 11 にリリースすることができることを確認しました。このプロセスは、nixtamalization として知られています。それは発見されるには、B のビタミンの 3 番目だったのでナイアシンはビタミン B3として呼ばれます。それ歴史的に「ビタミン PP」または「ビタミン-P」として呼ばれています。
ナイアシンに関する情報
ナイアシンに関する詳しい情報ナイアシンの栄養所要量
ナイアシンの吸収を促進阻害する因子
ナイアシンが多く含まれている食品
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