ビタミンB2欠乏症と過剰症の栄養
ビタミンB2 (リボフラビン) は水溶性のビタミンで、体内に吸収されると、フラビンモノヌクレオチド (FMN) 、およびフラビンアデニンジヌクレオチド (FAD) に変換され、体内では主にFADの形で存在します。両者とも、ほとんどの栄養素の代謝に関わる補酵素としての働きがあります。その他、ビタミンB2には、成長促進・皮膚や粘膜の保護といった働きもあり、不足すると成長障害・脂漏性皮膚炎・口内炎などを引き起こすことが知られています。
ビタミンB2の欠乏症は以下の場合に起こります。
食事からのビタミンB2摂取量が不足した時や代謝異常 (小腸からの吸収の段階、リボフラビンからの補酵素型への酵素的変換の過程、酵素タンパク質との結合の段階、フラビン酵素反応の阻害)疾患 (肝疾患、下垂体疾患、糖尿病など)薬物の影響 (テトラサイクリンなどの抗生物質、クロルプロマジンなどの精神安定剤、副腎皮質ホルモン、経口避妊薬を連用した時)ビタミンB2不足は単独ではあまり起こらず、他のビタミン不足と同時に起こります 。
ビタミンB2欠乏症の症状
不足すると発育・成長が阻害されるほか、口の端が切れる口角炎、口内炎、舌炎などのように、皮ふや粘膜に炎症がおこりやすくなります。これは皮ふや粘膜は生まれ変わりが速い組織であるため症状が現れやすいからです。
ビタミンB2欠乏症:皮膚や粘膜の炎症
ビタミンB2が不足すると、まず現われてくるのは、皮膚や粘膜のトラブルです。これは上記でも解説したように、皮膚や粘膜の材料が不足しておこることで、いろいろなところに症状がでてきます。
・ 口内炎・・・口の中の粘膜が、ただれて赤くなったり痛みがある
・ 口唇炎(こうしんえん)・・・唇が赤くはれる
・ 口角炎・・・口の端が切れて、かさぶたになる
・ 舌炎・・・舌がはれて熱や痛みがある
・ 脂漏性(しろうせい)皮膚炎=小鼻の脇に、小さな脂肪のできものができる
・ 眼精疲労、目の充血
・ 眼瞼炎(がんけいえん)・・・まぶたの縁でおこる炎症
など、口、鼻、眼の他、肌あれや髪の毛が痛んで、ツヤがなくなることもあります
ビタミンB2欠乏症:メタボ、老化、動脈硬化
ビタミンB2は、脂質の代謝に関わっているので、不足すると脂質が上手くエネルギーに変えられず、体内に脂肪として貯えられます。特に、脂質の多い肉類や揚げ物、刺身などを多く摂る人は、ビタミンB2が欠かせません。また体内で、脂質が酸化されると「過酸化脂質」という有害物質ができます。過酸化脂質は、細胞を傷つけ細胞の寿命を縮めたり、動脈硬化を引きおこす原因になります。ビタミンB2は、この過酸化脂質を分解して、取り除く働きがあるため、ビタミンB2が不足すると、それだけ身体の老化を進行させることになります。
ビタミンB2欠乏症:子供の成長障害
ビタミンB2は、別名「発育のビタミン」とも呼ばれ、細胞を再生したり、新しく生まれ変わるときに、大切な働きをします。このため、妊娠中の女性や、成長期の子供がビタミンB2不足になると、その成長に悪影響がでてきます。赤ちゃんがお腹の中にいるときは、お母さんの食べ物によって栄養状態が大きく左右されるので、特に注意したいものです。
ビタミンB2欠乏症と栄養所要量
ビタミンB2が不足すると発育・成長が阻害されるほか、口の端が切れる口角炎、口内炎、舌炎などのように、皮ふや粘膜に炎症がおこりやすくなります。これは皮ふや粘膜は生まれ変わりが速い組織であるため症状が現れやすいからです。一方、水溶性のため使われなかった余分は尿中に出てしまうことから、とり過ぎによる過剰症の報告はありません。
ビタミンB2の栄養所要量
平成21年の国民健康・栄養調査では、通常の食品から男性で平均1.20 mg/日、女性で平均1.09 mg/日摂取しています。また、強化食品・補助食品から男性で平均0.20 mg/日、女性で平均0.38 mg/日摂取しています。
ビタミンB2欠乏症予防と栄養所要量
ビタミンB2の推奨量 | |
成人男性 | 1.6mg |
成人女性 | 1.2mg |
栄養機能性食品として | (下限値) 0.4mg |
(上限値) 12.0mg |
※ビタミンB2の上限量は定められていません
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ビタミンB2欠乏症・過剰症に関する情報
ビタミンB2に関する詳しい情報ビタミンB2の栄養所要量
ビタミンB2の吸収を促進阻害する因子
ビタミンB2が多く含まれている食品
ビタミンB2過剰症
ビタミンB2欠乏症