ビタミンK欠乏症による症状と健康影響|食と健康e840.net ビタミンK欠乏症による症状と健康影響

ビタミンK欠乏症と不足摂取による症状と健康影響

ビタミンKは脂溶性ビタミンで、ブロッコリーやホウレン草などに多いフィロキノン (ビタミンK1) と細菌が産生するメナキノン (ビタミンK2) が主に知られている。プロトロンビンなどの血液凝固因子を活性化することにより、血液の凝固を促進する。成人でのビタミンK欠乏症はまれであるが、新生児における出血性疾患の一部はビタミンKに関連があると考えられている。メナキノンが食品添加物 (強化剤) として使用が認められている。一般に、「血液凝固因子を合成する」、「骨の形成を助ける」などといわれている。ヒトでの有効性については、ビタミンK1は経口摂取でビタミンK欠乏症による低プロトンビン血症に対して有効である。ビタミンK2の経口摂取は、骨密度を維持し骨折予防に有効性が示唆されている。ビタミンK2を関与成分とした特定保健用食品が許可されている。安全性については、ビタミンK1とK2を摂取する場合、おそらく安全と思われる。妊娠中・授乳中は適切に経口摂取する場合、おそらく安全と思われるが、妊娠中の大量摂取は危険性が示唆されている。抗凝固薬を使用している患者では使用を避ける。

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ビタミンK欠乏症と栄養

天然に存在するビタミンKは2種類あり、緑黄色野菜・海藻類・緑茶・植物油などに含まれるビタミンK1 (フィロキノン) と、もうひとつは腸内細菌によっても合成されるビタミンK2 (メナキノン) です。ビタミンK2には11種類の同族体 (類似の化合物) がありますが、この中で食品に多く含まれるのは、動物性食品に広く分布するメナキノン-4と、納豆菌によって産生されるメナキノン-7です。通常、フィロキノン・メナキノン-4・メナキノン-7を総称してビタミンKと呼びます。ビタミンK3 (メナジオン) は天然には存在せず、大量摂取すると毒性が認められる場合があるため、使用は認められていません。ビタミンKは、各種タンパク質のグルタミン酸をγ-カルボキシグルタミン酸に変換する時の補酵素として働きます。この働きによって、血液凝固因子はカルシウムと結合できるようになり、正常な血液凝固が起こります。また、ビタミンKは骨の形成に必要とされ、日本ではメナキノン-4 (メナテトレノン) が骨粗鬆症治療薬として用いられています。

ビタミンK欠乏症は次の場合に起こりやすいです

ビタミンKの摂取不足、長期間の抗生物質投与により腸内細菌からのビタミンK供給が減少した時、慢性の胆道閉塞症、脂肪吸収不全、肝臓病

ビタミンKは腸内細菌によってもつくられますし、いろいろな緑黄色野菜に多く含まれるため、通常の場合は不足する心配はほとんどありません。ただし、抗生剤を長期間飲み続けている人では、体内の腸内細菌からの供給が不十分になるため不足する場合があります。しかし、通常の食事をしている人ではビタミンKが不足することはほとんどありません。

ビタミンKの栄養と欠乏症

ビタミンKが欠乏すると鼻字、胃腸からの出血、月経過多、血尿、血液凝固の遅延などといった症状が現れます。また、慢性的なビタミンK欠乏は、骨粗鬆症や骨折を引き起こすことが知られています。

ビタミンK欠乏症:出血が止まらない

ビタミンK欠乏症は、乳児とそれ以外の2つに分けられます。

乳児のビタミンK欠乏症の場合

ビタミンKは、出血があったときに血を止める物質(プロトロンビン)を、合成する働きがあり、身体を保護しています。ビタミンKは、食品から摂るだけでなく、腸内でも作られていますが、生まれてから1年以内の乳児では、腸の発達が未熟なため、ビタミンKが作られません。このため、お母さんのお腹の中にいるときや、生まれてから1年以内にビタミンK不足になると、欠乏症が現れてきます。具体的には、消化器官が出血して、黒っぽい便が出る新生時出血(新生時メレナ)や、頭蓋内(ずがいない)出血などがあります。頭蓋内出血では、ビタミンKの注射によって、全治するケースもありますが、後遺症が残ったり、命が失われることもあるので、特に注意が必要です。最近では、このような欠乏症がおきないように、生まれてから数日後、退院時、健診時などにビタミンK入りのシロップを、飲ませるのが普通になっています。

乳児以外のビタミンK欠乏症の場合

生まれてから1年ほどたつと、腸内で1日あたり1.0~1.5mgほどのビタミンKが作られるので、1才以降はビタミンKが、不足することは少なくなります。しかし、何かの原因でビタミンKが不足すると、鼻血が出やすくなったり、内出血やケガで出血したときは、なかなか血が止まらなくなります。また、肝臓病で胆汁の分泌が悪くなり、ビタミンKの吸収が低下した場合や、長期間、抗生物質を常用している場合は、腸内で作られるビタミンKが減るので、欠乏症がでてきます。

ビタミンK欠乏症:骨粗しょう症

ビタミンKは、骨にカルシウムを沈着させて、骨を丈夫にする働きがあります。しかし、ビタミンKが不足すると、カルシウムが骨に取り込まれず、骨が弱くなります。そもそも、骨というのはコラーゲンをベースにして、それにカルシウムやマグネシウム、リンなどがしっかり結合(沈着)して、丈夫な骨になります。このとき、コラーゲンとカルシウムを結びつけるのが、ビタミンKの働きで、不足すれば当然、骨が弱くなりそれが進行すると、骨粗しょう症になってしまいます。

ビタミンK欠乏症と栄養所要量

ビタミンKは腸内細菌によってもつくられますし、いろいろな緑黄色野菜に多く含まれるため、通常の場合は不足する心配はほとんどありません。ただし、抗生剤を長期間飲み続けている人では、体内の腸内細菌からの供給が不十分になるため不足する場合があります。一方、ビタミンKは油溶性ビタミンのひとつですが、通常の食生活では過剰症の報告はされていません。平成22年の国民健康・栄養調査では男性で平均231μg/日、女性で平均223μg/日摂取しています。男女とも目安量を充たしています 。

ビタミンK所要量と欠乏症

ビタミンK栄養推奨量
成人男性 18~49歳 75μg
成人女性 18~29歳 60μg
30~49歳 65μg

(参考) ビタミンKの栄養所要量
※ビタミンK上限量は特にありません
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:266μg  女性:262μg

ビタミンK欠乏症・過剰症関する情報

ビタミンKに関する詳しい情報
ビタミンKの栄養所要量
ビタミンKの吸収を促進阻害する因子
ビタミンKが多く含まれる食品
ビタミンK過剰症
ビタミンK欠乏症

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