パントテン酸の栄養
パントテン酸は、「至るところに存在する酸」という意味で命名されました。この名前の通り様々な食品に含まれているので、通常の食事をしている人では不足することはまずありません。パントテン酸は食事から摂取するほか、腸内細菌群によってもわずかに合成されます (12) 。パントテン酸はコエンザイムA (CoA) やホスホパンテテインなど、補酵素の構成成分として、生体内で重要な働きをしています。特に、TCAサイクルや脂質の代謝に深くかかわっているため、パントテン酸欠乏は、エネルギー代謝の異常や障害を起こします。
パントテン酸の欠乏症は次の場合に起こります。
パントテン酸欠乏症は、パンテトン酸が様々な食品に含まれているため、通常の食事をしている人では、パントテン酸欠乏症を起こす事はまずありません 。
パントテン酸の栄養とパントテン酸欠乏症
パントテン酸欠乏症になると細胞内のCoA濃度が低下するため、成長停止や副腎傷害、生理的な悪影響(手や足のしびれと灼熱感、頭痛、疲労、不眠、胃不快感を伴う食欲不振など)が起こることが知られています。
パントテン酸欠乏症:免疫力、抵抗力の低下
パンテトン酸欠乏症により免疫力の低下をする事がわかっております。パントテン酸は、細菌や病原菌などから、私達の身体を守る抗体の合成を、サポートしています。もし、パントテン酸が不足すると、抗体が減少して身体の抵抗力が低下し、その結果、カゼをはじめ、いろいろな病気にかかりやすくなります。
パントテン酸欠乏症:ストレスによる体調不良
パンテトン酸欠乏症によりストレスによる抵抗力が弱まる事がわかっています。日常生活でのストレスに対抗する力が弱まり、体調がすぐれなかったり、ストレスが原因による、病気にかかることがあります。私達はストレスを感じると、副腎から分泌される副腎皮質ホルモンによって、ストレスに対抗するようになっています。しかし、パントテン酸(ビタミンB群)が不足すると、副腎皮質ホルモンの合成が不十分になり、ストレスに対抗できなくなります。
パントテン酸欠乏症:動脈硬化
パントテン酸欠乏症により動脈硬化のリスクが高くなります。動脈硬化は、主に血液中の悪玉コレステロールが、血管のあちこちに付着して、血管を酸化させて柔軟性を奪ってしまいます。これによって、体内の血液の循環が悪くなり、様々な病気を引きおこす原因になります。パントテン酸は、悪玉コレステロールとは正反対の働きをする、善玉コレステロールを増やし、血液の老廃物や悪玉コレステロールを除去して、健康な血管を保つ働きがあります。コレステロールと聞くと「身体に悪い」というイメージがあります。しかし、コレステロールそのものは、身体の細胞膜や生体膜の成分をはじめ、ホルモンや胆汁酸などの材料となる、非常に重要な栄養素です。問題なのは、コレステロールを多く摂りすぎて、体内に蓄積された場合で、その代表が悪玉コレステロールなのです。
パントテン酸欠乏症:毛髪、その他
パントテン酸は、たんぱく質の代謝にも大きく関係しているので、もし不足すると体内のたんぱく質が不足ぎみになり、毛髪のツヤがなくなったり、白髪や赤茶けた髪が増えることがあります。その他、足のしびれや疼痛(とうつう)、蟻走感(ぎそうかん)などの症状がでることもあります。
※疼痛::ずきずきとうずくような痛みがあり、ケガをしていなくても、神経系が引き起こす場合があります。
※蟻走感:全身にアリがはっているような、むずむずした感覚があり、神経系の異常が原因です。
パントテン酸欠乏症と栄養所要量
パントテン酸欠乏症になると、成長障害、手足の知覚異常、頭痛や疲れなどがおこることが知られていますが、広く食品に含まれることから、通常の食生活で欠乏症はめったにありません。 一方、とり過ぎた場合の有害な影響はほとんど報告されていません。ただし、薬やサプリメントで大量に摂取する場合は、吐き気や食欲不振の報告もあるため、適切なご利用方法をこころがけてください。平成21年の国民健康・栄養調査では男性で平均5.68 mg/日、女性で平均4.99 mg/日摂取しており、男女ともほぼ目安量を充たしているといえます。パントテン酸欠乏症を予防する為の栄養所要量
パントテン酸の推奨量 | |
成人男性 | 6mg |
成人女性 | 5mg |
妊婦 | +1mg |
授乳婦 | +4mg |
※パントテン酸の上限量は定められていません
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:5.89mg 女性:5.17mg
パントテン酸欠乏症・過剰症に関する栄養情報
パントテン酸に関する詳しい情報パントテン酸の栄養所要量
パントテン酸の吸収を促進阻害する因子
パントテン酸過剰症
パントテン酸欠乏症