ビタミンE過剰症と欠乏症
ビタミンEは有機溶媒には溶けますが、水には溶けません。空気中での酸化は、光、熱、アルカリによって促進されます。近年の成分表ではビタミンE効力 (IU) に代えて、ビタミンEとしてα-,β-,γ-,δ-トコフェロール重量 (mg) の成分値が示されています。なお、mg×1.5でIUに変換することができます。
ビタミンE過剰症と体内代謝
摂取したビタミンEは、胆汁酸などによってミセル化された後に小腸から吸収されます。小腸で吸収されたビタミンEは、キロミクロンに取り込まれてリンパ管を通り、肝臓に運ばれます。肝臓では、ビタミンE同族体 (類似の化合物) のうち、α-トコフェロールが優先的に輸送タンパク質に結合し、他のビタミンE同族体は肝細胞内で代謝されます。α-トコフェロールは、輸送タンパク質に結合することで肝細胞内を輸送され、今度はVLDLに取り込まれて血流中に移行し、LDLに変換されて各組織に運搬されます。生体内でのビタミンEの代謝は以下の通りです。ビタミンEは生体膜に存在し、生体膜や血中リポタンパク質に多く含まれる不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ働きをしています。
ビタミンE過剰症と栄養
通常、一般的な食事内容でビタミンEを過剰摂取することはほとんど考えられません。日頃からバランスの良い食事を心がけましょう。
ビタミンE過剰症とサプリメント
最近の報告において、ビタミンEを大量かつ長期間摂取する事で骨粗鬆症になる事がわかってきました。また、多量のビタミンEを含むサプリメントを服用した事で死亡率が高まるとの報告も出され、過剰摂取に対する警鐘となっています。
ビタミンE過剰症と栄養所要量
平成21年の国民健康・栄養調査では、通常の食品から男性で平均6.8 mgα-TE、女性は平均6.4 mgα-TE摂取しています。また、補助食品から男性は平均1.2 mgα-TE、女性は平均2.1 mgα-TE摂取しています 。*α-TEはα-トコフェロール当量の略です。
ビタミンEの栄養所要量
ビタミンEの栄養推奨量 | |
成人男女 | 18~29歳 9mg 30~49歳 8mg |
成人女性 | 18~49歳 8mg |
妊婦 | +0mg |
授乳婦 | +3mg |
ビタミンE上限量
成人男性:18~49歳 800mg
成人女性:18~29歳 600mg、30~49歳 700mg(妊婦・授乳婦含む)
ビタミンE過剰症に関する情報
ビタミンEに関する詳しい情報ビタミンEの栄養所要量
ビタミンEの吸収を促進阻害する因子
ビタミンEが多い食品
ビタミンEの過剰症
ビタミンEの欠乏症