ビタミンB12の栄養
ビタミンB12はコバルトを含むビタミンの総称で、ヒドロキソコバラミン、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、シアノコバラミン、スルフィトコバラミンがあります。抗悪性貧血因子として牛の肝臓中に発見されたビタミンで 、微生物以外では合成されないため、植物性食品にはほとんど含まれません 。体内では、メチルコバラミンとアデノシルコバラミンが、アミノ酸や脂質などの代謝の補酵素として働いており、不足すると悪性貧血や神経障害などが起こることが知られています 。
ビタミンB12欠乏症が起こりやすい人
ビタミンB12不足はどのような人に多く見られるか?
1.厳格な菜食主義者
2.高齢者など、胃酸分泌の低い人
3.胃切除者
4.小腸における吸収不全
ビタミンB12欠乏症と疾患
ビタミンB12欠乏症:悪性貧血(巨赤芽球性貧血)
ビタミンB12欠乏症の代表的な症状に貧血(悪性貧血)があります。悪性貧血とは、ビタミンB12の不足で、普通より大きな赤血球ができることで、正式には、巨赤芽球性貧血と呼ばれています。赤血球は、外から新鮮な酸素を取り入れ、体内でできた二酸化炭素を排出する働きをしていますが、悪性貧血になると、この働きがほとんど機能しなくなります。このため、体内が酸欠状態になり、めまいや息切れ、動悸、疲れやすいなどの欠乏症が現れてきます。通常、貧血というとその多くは鉄分の不足が原因ですが、鉄分を補っても治らない貧血があり、その治療法を研究した結果、ビタミンB12が発見されたのです。そもそも赤血球は、鉄分を材料にして体内で作られますが、たとえ、十分な鉄分を食品から摂っても、ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏していると、正常な赤血球に成長しないのです。
ビタミンB12欠乏症:神経系の障害
私達の体内では、隅々まで末梢神経がゆきわたっていますが、脳からの指令がスムーズに末梢神経に伝えられるとき、ビタミンB12をはじめ、多くのビタミンが必要になっています。そしてビタミンB12は、神経細胞の遺伝子(DNA)や、たんぱく質などの合成を助け、神経伝達に支障がないようにしています。もし、ビタミンB12が不足すると、神経伝達が上手くいかず、神経が過敏になったり、気持ちが落ち込むなどの欠乏症が現われてきます。
ビタミンB12欠乏症:睡眠障害
ビタミンB12欠乏症は、生活のリズムを狂わせる事もわかっています。体内には時計があり睡眠のリズムは、脳から分泌されるメラトニンというホルモンで、調整されています。このメラトニンは、周囲が明るくなると減少し、周囲が暗くなると増加し、メラトニンが増加すると眠気がでてきます。ビタミンB12が不足して、メラトニンの分泌が上手くいかなくなると、睡眠のリズムが崩れて、不眠症になったり、昼間にもかかわらず強い眠気におそわれるなどの、欠乏症が現われてきます。また、ビタミンB12が不足していなくても、1日中、暗室や日光が当たらない場所にいると、メラトニンの分泌バランスが崩れ、不眠症が起こることもあります。ですから、1日1回は明るい場所にでて、メラトニンの分泌を調整すると、睡眠障害が起こりにくくなります。
ビタミンB12欠乏症:消化器官の障害
ビタミンB12は、神経以外の細胞の遺伝子(DNA)の合成も助けています。もし、ビタミンB12が不足すると、細胞分裂がスムーズに行われず、胃や腸などの消化器官に、欠乏症が現われてきます。例えば、慢性の下痢や胃の粘膜萎縮、胃酸の分泌低下をおこす。
ビタミンB12欠乏症と栄養所要量
各年齢別のビタミンB12の食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2010年版) (シアノコバラミン相当量) は以下の通りです。平成21年の国民健康・栄養調査では、ビタミンB12は男性で平均7.1μg/日、女性で平均5.8μg/日であり、男女とも推奨量を充たしています
ビタミンB12欠乏症にならない為の栄養所要量
ビタミン12の推奨量 | |
成人男性 | 2.4μg |
成人女性 | 2.4μg |
栄養機能性食品として | (下限値) 0.8μg |
(上限値) 60.0μg |
※ビタミンB12の上限量は定められていません
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:8.14μg 女性:6.63μg
ビタミンB12欠乏症・過剰症に関する情報
ビタミンB12に関する詳しい情報ビタミンB12の栄養所要量
ビタミンB12の吸収を促進阻害する因子
ビタミンB12を含む食品
ビタミンB12過剰症
ビタミンB12欠乏症