ビタミンD欠乏症と栄養
ビタミンDとは、ビタミンD2 (エルゴカルシフェロール) とD3 (コレカルシフェロール) の総称です。紫外線の照射によって、ビタミンD2は植物に存在するエルゴステロールから生成され、、ビタミンD3は動物に存在する7-デヒドロコレステロール (7-DHC) から生成されます。ビタミンDは、カルシウムやリンなどのミネラルの代謝や恒常性の維持、骨の代謝に関係しており、不足すると子供ではくる病、成人では骨軟化症などが起こることが知られています。
ビタミンD欠乏症は次の場合に起こりやすいです。
ビタミンDの欠乏症は、食事から充分な量を摂取できなかった時、消化管からの吸収が不十分な時、腎臓でビタミンD活性型 (1,25 (OH) 2D) に変換されない時、日光に当たる時間が不十分な時などにおこることがあります。
ビタミンD欠乏症の判断基準
血中25ヒドロキシビタミンD (25-OH-D) は血液中のビタミンD代謝物の中で最も濃度が高く、ビタミン補充状態をよく反映するため、体内ビタミンDレベルの指標となっています。血中25-OH-Dの基準値は15~40 ng/mL、10 ng/mL以下は潜在性ビタミンD欠乏症であると判断されます。
ビタミンD欠乏症の症状
ビタミンDが不足すると小腸からのカルシウム吸収が不十分となり、骨や歯の形成もうまくいかなくなり、赤ちゃんや子どもではくる病、成人では骨軟化症を引きおこすといわれています。高齢化社会を迎えて、日本でも骨粗しょう症(カルシウムの項を参照)の人が増えています。若いうちから、ビタミンDとカルシウムを十分にとることに加え、適度な日光浴と運動に配慮して丈夫な骨をつくりましょう。
ビタミン欠乏症:くる病
ビタミンDの欠乏・不足で代表的な病気がくる病で、乳幼児がかかります。くる病は、足の骨をはじめ、胸骨、肋骨(ろっこつ)、頭蓋骨など、あらゆる骨が曲がってしまう病気です。また、歯のエナメル質は失われ、歯はぼろぼろになってしまいます。くる病は、命を失うほどの致命的な病気ではありませんが、まともに立ったり歩いたりすることができなくなります。症状が重くなると、筋肉のハリがなくなり、思うように手足を動かすことが、できなくなります。
ビタミンD欠乏症:骨軟化症
大人がビタミンDの欠乏・不足になると、骨が柔らかくなる骨軟化症になる可能性が高くなります。骨軟化症は、骨が変形してやがては脊髄(せきずい)も曲がってしまう病気で、大人のくる病といわれることもあります。
ビタミンD欠乏症:骨粗しょう症
骨粗しょう症は、ビタミンD不足の人や、高齢者、閉経後の女性に多い病気です。骨の密度が非常に低くなるため、骨が衝撃に非常に弱く、つまずいて軽く転んだだけで、骨折することも珍しくありません。特に高齢の女性では、エストロゲン(ホルモンの1つ)の分泌量が、閉経後に急激に減り、骨粗しょう症が進行してしまうケースがあります。
ビタミンD欠乏症と栄養所要量
ビタミンDが不足すると小腸からのカルシウム吸収が不十分となり、骨や歯の形成もうまくいかなくなり、赤ちゃんや子どもではくる病、成人では骨軟化症を引きおこすといわれています。高齢化社会を迎えて、日本でも骨粗しょう症(カルシウムの項を参照)の人が増えています。若いうちから、ビタミンDとカルシウムを十分にとることに加え、適度な日光浴と運動に配慮して丈夫な骨をつくりましょう。 一方、ビタミンDのとり過ぎは、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化など過剰症をまねくおそれがあります。通常の食事から過剰症になることはほとんどありませんが、サプリメントや薬などから誤って大量摂取しないように注意が必要です。
ビタミンD栄養所要量とビタミンD欠乏症
平成21年の国民健康・栄養-調査では男性で平均8.0μg、女性で平均7.0μg摂取しています。男女とも目安量を充たしています。
ビタミンDの推奨量 | |
成人男女 | 5μg |
妊婦 | +2.5μg |
(参考) ビタミンDの栄養所要量
※ビタミンD上限量::50μg(成人男女、妊婦・授乳婦含む)
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:8.8μg 女性:7.8μg
ビタミンD欠乏症・過剰症に関する情報
ビタミンDに関する詳しい情報ビタミンDの栄養所要量
ビタミンDの吸収を促進阻害する因子
ビタミンDが多い食品
ビタミンD過剰症
ビタミンD欠乏症