葉酸の栄養と健康(過剰症と欠乏症)
補酵素型葉酸は、ヌクレオチド類の生合成やメチル基の生成転換系などに関与している。また、葉酸はアミノ酸やたんぱく質の代謝などにも不可欠であり、リシン、セリン、メチオニンの代謝やビタミンB12とともに、ホモシスティンから、メチオニンの生成などにも関与しています。葉酸は生体内ではビタミンB12とともに補酵素として働きます。また、細胞分裂にかかわり、新陳代謝や十分な成長を促します。成長期の子どもや妊婦のように、細胞分裂が盛んな時期にはとくに必要とされる栄養素です。さらに、遺伝子情報をのせたDNAを構成する核酸の成分合成にもかかわっています。また、葉酸はビタミンB12とともにホモシステイン代謝に関与し、ホモシステイン血中濃度を低下させて動脈硬化がおこりやすくなるのを防ぎます。また、赤血球の生成にかかわり、貧血を改善します。
葉酸と妊婦への影響
最近の研究では、葉酸は妊娠の正常な維持と血管障害を予防する生理機能をもつことが注目されています。とくに、妊娠初期に葉酸を適切に摂取することで、胎児の神経管欠損と呼ばれる先天異常のリスクの軽減が期待できます。
葉酸過剰症の症状
葉酸を大量 (1~10 mg) 摂取すると、発熱・蕁麻疹・紅斑・かゆみ・呼吸障害などの葉酸過敏症を起こすことがあります。また、ビタミンB12欠乏症の診断を困難にしたり、亜鉛と複合体を形成して小腸からの亜鉛の吸収を抑制する可能性があるため、食事摂取基準でも上限量が設けられています。ただし、亜鉛吸収の阻害作用に限っては、5~15 mg/日程度の葉酸摂取であれば影響はないという報告もあります。
サプリメントによる葉酸過剰症
上記のとおり葉酸の過剰摂取による様々な過剰症が確認されています。サプリメントで葉酸を摂取する場合には過剰症になる事もありますので注意が必要です。葉酸を過剰に摂取して過剰症にならないように注意が必要です。
葉酸と疾病予防
食事摂取基準の推奨量は食事性葉酸として示されています。しかし、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のための付加量400μg/日は、加工食品などに添加されているモノグルタミン酸型葉酸、プテロイルモノグルタミン酸の量として示したものであり、これを食事性葉酸に換算すると2倍の800μg/日に相当します。なお、胎児の神経管閉鎖障害の発症および再発を予防するための葉酸400μg/日付加は妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間に摂ることが望ましいとされています
葉酸の栄養所要量
平成21年の国民健康・栄養調査では、葉酸は男性で平均301μg/日、女性で平均289μg/日摂取しており、男女とも推奨量を満たしています 。
葉酸の栄養所要量は以下の通り
葉酸の栄養推奨量 | |
成人男性 | 240μg |
成人女性 | 240μg |
(妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスク低減のために、400μg/日の摂取が望まれる) | |
妊婦 | +200μg |
授乳婦 | +100μg |
(参照) 葉酸の栄養所要量
※葉酸の上限量:1,000μg(成人男女、妊婦・授乳婦含む。プテロイルモノグルタミン酸としての量(通常の食品以外からの摂取量))
※「日本人の食事摂取基準(2005年版)」による
※成人=18~49歳
ご参考:2003年 国民健康・栄養調査による摂取量(20~59歳平均)
男性:308μg 女性:297μg
葉酸に関する情報
葉酸に関する詳しい情報葉酸の栄養所要量
葉酸の吸収を促進阻害する因子
葉酸を多く含む食品
葉酸の過剰症
葉酸の欠乏症